多発性骨髄腫患者の末稍血幹細胞採取に対するbortezomibを含む導入療法の影響

摘要

多発性骨髄腫に対しbortezomibを含む導入療法が末梢血幹細胞採取へ与える影響を検討した。VAD療法 (control群78例）と，bortezomibを含む治療(bortezomib群32例)にっき，後方視的に比較した。幹細胞動 員のため，control群の83%, bortezomib群の63%でcyclophosphamide (CY)が投与，control群の12%で etoposideが投与された。G-SCF単独投与による採取を受けた症例は,bortezomib群で多かった(5%対38%， P<10~-5)。採取された総CD34陽性細胞数はcontrol群で多い結果であった（中央値7.4X 106/kg対5.2X106/ kg, P=0.004)oしかし，CY投与後の採取例に限ると，CD34陽性細胞数2.0 x 10~6kg以上を達成した割合は 両群とも高率であった(control群94%対bortezomib群100%, P=0.3)。従って，bortezomibを含む導入療 法はVAD療法と比較して，CY投与にて動員できた症例においては，移植に最低必要なCD34陽性細胞数2.0 X106/kg以上を確保することに対して，大きく影響しないことが示された。