微小肝転移からみたBorderline resectable膵癌の治療戦略

摘要

Borderline resectable (以下，BR膵癌)を 含む進行膵癌のタ1>科治療において，個々の病態が 局所のみにとどまっているか否かの判定は重要で ある.特に肝転移の有無は，患者治療方針に多大 な影響を与えるため，その正確な術前。術中診断 はきわめて大きな意義を有する.近年のMultide-tector-row CT (以下，MDCT)やMRIをはじめ とした画像検査の進歩は，最大径1cm以下の微細な肝腫瘍を検出可能とし，膵癌領域においても肝 転移の画像診断率は飛躍的に向上した2).しかし， 術前検査では肝転移を指摘されず，局所進行膵癌 として根治切除を施行された後ごく短期間のうち に肝再発が出現する例も依然として多い.その ような早期肝再発例においては，手術時既に同時 性肝転移が存在していた可能性がかねてより示唆 されてきた.