初感染後早期にEBウイルス感染細胞のモノクローナルな増殖及び血球貪食症候群を来した若年成人2症例

摘要

Epstein-Barrウイルス(EBV)感染症では,稀ではあるが重篤な合併症として血球貪食症候群があり,EBV感染T細胞と活性化組織球の相互作用により血球減少や肝障害,凝固障害といった様々な病態をひきおこす。 今回我々は,伝染性単核球症発症後,短期間でEBV感染T細胞のモノクローナルな増殖を伴う血球貪食症候群を発症した2例の若年成人例を経験した。 症例1:16歳.男性。 初感染後約2ヵ月で,高度の汎血球減少と肝障害を認めた。 骨髄での会食像と,EBV感染T細胞のモノクローナルな増殖を認め,免疫抑制療法,化学療法や造血幹細胞移植といった様々な治療を施行するも効果なく,原病の悪化にて死亡した。 症例2:19歳.女性。 初感染後約2ヶ月で.血小板減少,肝障害が出現。 骨髄での貪食像と,EBV感染T細胞のモノクローナルな増殖を認めたが,免疫抑制療法のみで寛解した。 両者は異なる臨床経過をたどったが,今後は成人例における予後因子の解析や治療法の確立が望まれる。