酸化ストレスと動脈硬化

摘要

動脈硬化の発症·進展における酸化ストレスの役割を概説した.酸化ストレスを惹起する因子について.従来から血管壁におけるアンジオテンシンⅡや炎症性サイトカイン（TNF－α，1L－1βなど）が指摘されてきた.最近では，内臓脂肪組織においてNAD（P）Hオキシダーゼの活性化を介して活性酸素種（ROS）の産生が亢進していることが明らかにされ，Fat ROSの重要性が注目されている事また．ROSによる細胞内伝達経路の活性化のメカニズムの詳細も報告されている．NF-kappaBの活性化におけるNIK，MEKK－1の関与やPKCの活性化が重要である．また，KLF5はNF-kappaBとは独立した経路で血管平滑筋細胞の活性化や脂肪細胞分化を調節する因子であることが明らかにされている．こうした研究の発展から，動脈硬化の治療薬の開発に向けて抗酸化物象転写因子活性阻害薬のアプローチが期待されている.