ガストリン受容体と腫瘍

摘要

細胞増殖作用を有する神経伝達物質やペプチトホルモンの三量体G蛋白共役型受容体がさまざまなヒト癌細胞に発現し，腫瘍細胞増殖に関与していることが薬理学的実験で示唆されてきた　 しかし，このようなペプチドホルモンや神経伝達物質がもつ細胞増殖能の，個体における生理的意義はかならすしも明らかにされているわけでない　 最近，細胞増殖作用を有するG蛋白共役型受容体のひとつであるガストリン受容体が生理的な消化管粘膜細胞の増殖にたいへん重要な役割を果たしていることが，ノックアウトマウスの作製により証明されたまた，これらの受容体クローニユングによりG蛋白共役型受容体がもつ新しい細胞生物学的機能が見出されるとともに，ヒト腫瘍における発現が詳細に解析されるようになってきた