量的形質のばらつきの原因はありふれてはいない？: 血中HDL-Cレベルに対する低頻度変異の関与

摘要

血圧や血中コレステロール量のような量的形質の変動に影響を及ぼす遺伝的因子として，頻度の高いありふれた変異がその素因になるのではないかと考えられている．形質に対する個々の変異の影響は小さいものの，それらが集積することで大きな影響を与えるのだろうという考えだ．しかし、強い影響力をもつ変異が関与している可能性もある．そういった変異はおそらく頻度が低いであろうが，それでもそれらを合わせると量的形質の変動に対する寄与が高くなるかもしれない．今回，Hobbsらのグループは，冠動脈のアテローム性動脈硬化のおもな危険因子である低HDLコレステロール（HDL-C）という量的形質に，頻度の低いミスセンス変異やナンセンス変異が関与することを示した．