生物学的製剤と整形外科手術

摘要

生物学的製剤の登場により関節リウマチ（以下RA)の治療は，大きく変化してきている.手術療法 は減少傾向であるとの報告がみられるが，生物学的製剤にて疾患活動性が改善しても少数の腫脹また は疼痛関節が持続する症例，関節破壊をすでにきたした進行期例および生物学的製剤無効例が存在す るため，今後もRA治療における整形外科的治療の重要性は変わらない.適切な時期に整形外科手術 を行うことは，RA患者にとってより高いADL獲得を可能にすると者えられる.しかし生物学的製剤使用下では周術期有害事象である手術部位感染症（SSI)と創傷治癒遅延発生の 可能性が示唆されるが一定の見解は得られていない1).本稿では生物学的製剤使用下におけるRA患 者に対する手術適応，手術の夕イミングおよび手術時の注意点などについて報告する.