長く歩くと下肢がしびれる場合は 何を考えますか？

摘要

長く歩くと下肢がしびれる場合は間歇性跛行を呈 していると考えられます.間歇性跛行は「何らかの 原因が歩行の継続を不可能にするも，一定時間の 休息によって再び歩行可能となる状態」と定義されます.大別すると末梢動脈疾患（peripheral arterial disease ： PAD)と腰部脊柱管狭窄症 (lumbar spinal canal stenosis ： LSS)という 異なる病態によって惹起されます.両者の症状は よく似ているので，鑑別には病態を理解しながら 問診する必要があります.最も有用な情報は姿勢 因子の有無で，LSSでは前屈位で改善することが 多いです.PADでは姿勢因子の関与はなく，立 位のみでは症状は増強せず，歩行負荷によって初 めて下肢症状が、出現します.さらに足関節上腕血 圧比（ankle brachial pressure index ： ABI) の測定や日本脊椎脊髓病学会が作成しているLSS 診断サポー卜ツールが有用です.