アルコ一ル関連問題基本法（仮称）の制定で何が変わるのか？

摘要

プライマリ?ケアでは，アルコール性臓器障害/外傷/急性アルコール中毒などによる受診（救急 を言む）か'ある.医師は，適切な対応スキルを身につけることにより初めて介入のチャンスが活かせ，治療などの成果に結びつく.対応スキルとして，医師によるSBIRT (screening, brief intervention, referral to treatment)が有効であり，ェビデンスもある.SBIRTでは，CAGE, AUDIT-C, AUDITなどを用い，「危険な飲酒」と「アルコール依存症」をスクリーニングする.さらに，入院が可 能な専門医療機関では，HAPPYプログラムなどが功を奏する.iCD-10の適応などでアルコール依存症が明確となった患者には，専門医療機関受診を紹介するた めの動機づけが必要である.その際，照会すべき専門医療機関を把握し，住所や電話垂号なども入手 しておく. 「危険な飲酒」の人には節酒目標を交渉し，その目標が決まれば節酒方法を選択させ，飲酒 日記を用いながら節酒指導を行うことが有効である.「アルコール関連問題基本法（仮称)」は，本稿で 述べるさまざまな課題を克服するが，医療と予防および必要な社会環境の改善を目指している.また SBIRTなどの治療を診療報酬制度や研修制度により促進していく.