刊本『薬徴』成立過程についての試論·石膏(上)

摘要

吉益東洞の名著『薬徴』には多くの写本が残されており、江戸時代におけるその影響力のほどがうかがい知られる。 写本は二つの系統に大別される。 「異本」系と「南涯本」系である。 刊本が上中下三巻であるのに対し、「異本」系「南涯本」系はいずれも上下二巻よりなる。 「異本」系は「甘草」に始まり、「南涯本」系は刊本と同様「石膏」に始まる。