ハイリスク多胎と多胎育児支援

摘要

多胎はハイリスク妊娠である．多胎妊娠は，妊娠·出産·産褥·育児においてさまざまな合併症·多胎特有の問題があるだけでなく，周産期医療に大きな負担をかけている．近年，生殖補助医療の進歩により拳児を願う夫婦に恩恵をもたらしているが，一方で多胎が増加するという負の影響を産み出している．日本の人口動態統計によれば，従来わが国では多胎は出産1，000に対し0．6％であったが，2003年には1．1％と増加してきている．わが国に生殖補助医療（ART）が本格的に普及した1988年から稔出生率が低下しているにもかかわらず多胎の出産率は明らかに増加しているが，1996年に日本産科婦人科学会が「体外受精における移植胚数を原則3個以内にする」との会告を出した以後，品胎以上の多胎数はコントロールされてきている．