絨毛性疾患取扱い規約第3版-改訂のポイント

摘要

新しい規約は国際的な基準とも合致しており,「同じ傘の下」での比較·検討ができる.奇胎の診断は肉眼的所見ではなく，組織学的所見に基づいてなされる，可能ならば，imprinting gene productの免疫組織化学的検査や遺伝子 検査によって確認する.奇胎後の続発性疾奉の診断は，20週ではなく： 24.週時点でのhCG値を 目安にする.絨毛性疾患に遭遇する機会は多くない。それゆえ，むしろその診断·管理 法に習熟することが求められる.2011年7月，本邦における絨毛性疾患の分類?定義?診断基準を定めている「絨毛 性疾患取扱い規約」を16年ぶりに改訂した.主な改定点は，類上皮性トロホブラスト 腫瘍を絨毛性疾患の中の1つの疾患として新しく分類したこと，胞状奇胎の診断基準 を肉眼的所見ではなく，組織学的所見に基づくこととしたこと，そして続発性疾患の診 断に用いられる「胞状奇胎娩出後のhCG値の減衰パターンの分類」に示される識別線 の判定時期を変更したことである.