若延錠Sの過量内服にて発症した劇症肝炎の1例

摘要

症例は55歳，女性．疲労回復目的に市販のサブリメントである若延錠Sを，約2週間，常用の倍以上の量で服用し，徐々に全身倦怠感，皮膚の黄染が出現．近医を受診し，急性肝炎の疑いにて当科へ紹介となった．初診時，T－Bil17．0mg／dl，AST786U／L，ALT622U／L，ALP535U／L，gamma-GTP231U／LPT50％と肝胆道系酵素の上昇及び凝固系の異常を認めた．若延錠Sによる薬剤性肝障害を疑い，DDW－J薬物性肝障害シンポジウム案によるスコアリングを行った結果，混合型，スコアは9点：「かなり信憑性あり」と判定した．肝庇護剤の投与にて，肝胆道糸酵素は低下傾向を認めたが，ビリルビン高値が遷延，PTが40％未満へ低下した.