義歯誤飲によるS状結腸穿孔の1例

摘要

消化管異物は日常診療でまれではなく再々遭遇する疾患である．通常は自然排出されることが多く，外科的治療の対象となることは少ない．今回，義歯誤飲によりS状結腸穿孔をきたした症例を経験したので報告する．患者：56歳，男性.主訴：下腹部痛，下痢.家族歴·既往歴：特記すべきことなし．現病歴：1998年11月27日の昼食時，臼歯部の部分床義歯を誤飲してしまったため近医を受診した．その際，腹部単純X線検査ですでに胃内に落下しているのが確認されたため，経過をみるよう指導ざれた．その後，義歯の自然排泄はなかったが，とくに腹痛などの症状の出現はなかった．11月30日の早朝，突然の下腹部痛と下痢の出現がみられたため近医を受診した．腹膜炎と診断ざれ当科を紹介され，入院となった．