進歩の見られる小児気管支喘息に対する治療

摘要

最近の小児気管支喘息の治療に関するエビデンスの蓄積には目覚しいものがある．米国の喘息ガイドライン（EPR3．2007），英国（BGMA．2008），Practallconsen－sus report（2008）などは，新たなエビデンスを取り入れたガイドラインとなっている．そのなかでとくに重要と思われるトピックスを紹介する．新生児から成人に至る喘息のコホート研究が各国で行われた．小児喘息は反復する気道閉塞の発作と，トリガー因子（運動，アレルゲン被曝，ウイルス感染）による気道過敏性の増強による症状と定義することができる．しかしながら，この定義を咳と喘鳴のエピソードを繰り返す未就学児に応用することが実際に難しい症例に小児科医は遭遇する．Martinez FDらは，乳幼児の喘鳴を本来の喘息を含めて「症候群」としてとらえ，3つ現病型を提唱した．さらに最近，"persistent asthma"と対立する臨床型として4番目の病型が提案されている（PRACTALL consensusl－eport2008）．