前立腺全摘除術における周術期抗菌薬投与法の検討：単回投与法と1日投与法との比較

摘要

周術期における抗菌薬投与は，術中に惹起される感染症の阻止手段の一部である.その役割は，術中に侵入する細菌の増殖を宿主の防御能以下に抑えることで達成される.その使用に際しては，手術特性や対象細菌を考慮した薬剤選択が前提で，可能な限りスぺクトラムの狭い薬剤を短期間の使用に留めることが求められている. 以前，われわれは前立腺全摘除術（RP)を対象として，術中および帰室後単回の抗菌薬投与法の有用性を報告した.今回，術中投与に限った抗菌薬投与法の感染阻止能を検討すると共に，感染発症の危険因子ならびに予測因子を検討したので報告する.