赤血球の形態異常，赤血球膜の浸透圧抵抗減弱とその回復を確認し得たZieve症候群の1例

摘要

1958年，Zieveは慢性アルコール性肝障害を基礎病変とし，大量飲酒を契機として黄疸，高脂血症，溶血性貧血を呈する症例を新しい症候群として提唱した。 しかしその後のわが国におけるZieve症候群の報告例の中には，溶血が明らかでない症例がかなり含まれているようである。今回われわれは，アルコール多飲後に黄疸，高脂血症，貧血を伴い，末梢血において球状赤血球，標的赤血球などの赤血球の形態異常が出現し，赤血球膜の浸透圧抵抗減弱が認められた症例を経験した。