胎児期の有機フッ素化合物曝露と乳幼児期のアレルギー症状との関連の検討環境と子どもの健康に関する北海道スタディー（3）

摘要

近年、我が国において小児アレルギー疾患の有病率が増加するとともに、発症の低年齢化が進んでいる。 その要因として遺伝的因子のほかに環境因子の急激な変化が関与し、ダイオキシン、PCB類、有機フッ素化合物などの環境化学物質の影響が原因の一つとして考えられている。 有機フッ素化合物（PFOS·PFOA）は難分解性、高残留性の物質であり、ヒトへの健康影響が懸念されている。マウスにおける動物実験では、有機フッ素化合物曝露により免疫抑制およびIgM抗体産生抑制が認められている（Margieら2007）。 現在、ヒトでの有機フッ素化合物の曝露とアレルギー疾患の関連については報告されていない。本研究では、胎児期からの前向きコホート研究において、胎児期の右棟フッ素化合物曝露と1歳半までのアレルギー症状との関連について検討した。