腎移植レシピエントの水痘感染症例の検討

摘要

水痘は，水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus: vzv)によって引き起こされる感染症で，おもに小児期に感染究症し，通常軽症に経過する。日本人において成人の約95%が既感染とされている。それ以後もゥィルスは体内にとどまり潜伏し，加齢や種々の原因で免疫が低下すると，再びウィルスは活性化されて，活動，増殖し，帯状疱疹となる。一方，成人でVZVに初感染した場合は重症化しゃすい。水痘は一度罹患すると終生にわたり免疫が維持され，水痘に再度罹患することはないとされているが，高齢者，免疫不全患者または臓器移植後の免疫抑制状態にある患者ではVZV に再感染し，水痘として発症することが知られている。今回，われわれの施設において腎移植患者のVZV 初感染例およぴ再感染例を経,験したので報告する。