7年以上経週観察しえたムチランス型関節リウマチに対する片開き式頸部脊柱管拡大術の3例

摘要

ムチランス型関節リウマチ（RA)は破壊性変化が著しく，頸椎病変に対しては上位類推のみならず中·下位頸椎に関しても強固な固定術を選択することが多い.しかしムチランス型RA患者にとって類部の可動性を少しでも残すことは飲水などの日常生活動作(ADL)上たいへん重要で，また固定術の際の固定範囲や長期経過後の隣接椎間への影響については十分に検討されているとはいえない.広範囲の固定術は手術侵襲も大きく ，骨残存量の少ないムチランス患者では移植骨の確保も問題となる.われわれはムチランス型RAの中· 下位頸椎病変に対して手術侵襲と固定後のADL上の損失3)を考慮し，より低侵襲で頸椎可動性を残した術式である片開き式頸部脊柱管拡大術（以下，拡大術）を施行している.