Kugel patchを用いた腹膜前到達法による成人鼠径ヘルニア修復術

摘要

Kugel法は，形状記憶を有する楕円形のポリプロピレンメッシュ（Kugelパッチ）をinlay graftとして，腹膜前到達法によって腹膜前腔に配置する新しい鼠径ヘルニア修復法で，Kugelによって1994年1月に臨床応用が開始された。 その利点として，（1）腹腔鏡などの特別な器機や全身麻酔が不要である，（2）1枚のパッチですべてのタイプのヘルニア（内·外鼠径，および，大腿ヘルニア）に対応可能である，（3）基本的にはパッチの固定は不要で低侵襲である，（4）鼠径管を開かないために神経損傷の心配が少ない，（5）再発症例に対しても操作の及んでいないvirgin plane（腹膜前腔）からアプローチ可能である，などが挙げられる。