水疱症の粘膜病変

摘要

粘膜病変を呈する水疱症は多数あるが，ここでは自己免疫性水疱症に絞つて解説する.自己免疫性水疱症では粘膜病変を呈する頻度が非常に高く，疾患によっては粘膜病変が主症状となることや，特徴的な粘膜病変から診断に結びつくこともあり， 皮膚を診察すると同時に粘膜を診察することが皮膚科医にとって必須となる尋常性天疱瘡は粘膜病変の頻度が非常に高く，ほとんど全例で粘膜病変を認める.特に難治性のびらん性口腔粘膜病変で初発することが多い.3?4週間以上治癒しない口内炎の場合は尋常性天疱瘡を考慮する必要がある.好発部位は頰粘膜で，歯肉，舌，口唇，口蓋にもみられ，びらんが主体で薄く剥離した上皮が周囲に付着する.びらんは癒合し拡大傾向が強い.病変が高度になると口腔全体がびらんとなり，疼痛が強く摂食困難となり体重減少に至ることもある.また食道や咽頭喉頭にも病変を認める場合がある.