エンテロへモリシン溶血とどeaeA遺伝子の保有状況からみた家畜由来ベロ毒素産生性大腸菌の危害度評価

摘要

ヒト由来VTEC131株，家畜（牛·豚）由来VTEC140株のエンテロへモリシン溶血（Ehly）とその遺伝子わ7yAの保有状況，腸粘膜接着因子インチミンの遺伝子eaeAの保有状況を比較し，家畜由来VTECがヒトに及ぼす危害度の評価を行った．hlyA保有率は菌株由来別にヒト98．5％，年50．5％，豚10．3％，同じくEhly陽性率はヒト96．2～977％，牛45．9～55．0％，豚10．3～20．7％であり，由来による差異が明確であった．しかし，牛由来の0157VTECは全12株が物Aを保有し，Ehly陽性を示したeaeA保有率は，ヒト由来株の977％に対し，牛由来株では，0157VTECの全株が保有していたものの，血清型がO157以外の株では8．1％，豚由来株では3．4％と低率であった．ヒト牛由来株ではeaeAとEhlyには関連性が認められ，eaeA保有株はすべてhlyAを保有し，Ehlyもほとんど陽性であった．また，牛由来株では，Ehly陽性菌株中のeaeA保有菌株の比率は29．5～35．3％であり，ヒト由来株ほど高率（100％）ではなかったが，Ehly陰性株中のど肥A保有菌株の比率は3～4％の低率であり，さらにhlyA非保有株は全株eaeAを保有していなかった．以上から，eaeAとEhlyの2因子が，ヒトへの危害度評価の有用な指標になるとともに，牛由来株ではEhly陽性であればど妃A保有の可能性があるので，簡便な指標としてEhlyが利用できると考えられた．