位置情報を用いた仮想セクタ方式によるWLAN隠れ端末問題の解消：シャドウイング環境におけるセクタ再分割手法の評価

摘要

WLAN（wireless local area network）で用いられるCSMA／CA（carrier sense multiple access with collision avoidance）では，隠れ端末問題による通信効率低下が問題となる．隠れ端末問題は通信衝突によるシステムスループットの劣化を引き起こし，またCSMA/CAのバックオフ制御によって隠れ端末問題を引き起こしやすいセル端ユーザの送信が抑制され，セル端ユーザのスループットが劣化する．この問題を解決するため我々はこれまで位置情報に基づいた仮想セクタ方式を提案してきた．仮想セクタ方式は端末の位置情報に基づき端末の送信制限を行うことで隠れ端末問題を解消する．我々はこれまで，LoS（line-of-sight）環境において従来手法のCSMA／CA with RTS／CTS（request to send and clear to send）と比較して提案手法により隠れ端末問題を解消可能であることを示してきた．本稿では，シャドウイング環境における隠れ端末問題を説明し，これに対しセクタ再分割（re-division：RD）手法の適用を提案する．計算機シミュレーションにより，RD手法によりRTS／CTSに比べ最大11倍の低スループットユーザの特性改善が可能であることを示す．