レベルセット法による導波管H面で分岐回路の導体形状最適設計の検討

摘要

情報通信の発展に伴い，小型で特性のよいマイクロ波デバイスの設計が盛んに行われている．マイクロ波回路の基本構造の設計においては，従来からある構造の改良や発見的な手法によるところが多いが，最近ではコンピュータの高速化大容量化により電磁界解析を用いた最適化手法に基づく設計が報告されており，その最適化手法の一つにレベルセット法がある．レベルセット法は，構造の分野や画像処理の分野で用いられているが，フォトニック結晶のバンドギャップ最大化や逆散乱問題などにも適用されている。著者らはレベルセット法を導波路伝達問題に適用することを検討していて，導波管H面回路における誘電体形状最適設計，あるいは導体形状最適設計についても報告している．ここでは，導波管H面T分岐回路にレベルセット法導体形状最適化を適用するとともに，最適化によって得られた構造を簡単化して作製し，周波数特性を測定して本手法の有用性を検討する．