英語リズム教材学習時における,短期学習と「飽き」に関する脳波

摘要

英語リズム教材（RIM）を用いた英語リズム学習を5日間長期に行った先行研究では，前頭θ波のパワー値の上昇が翌日の発話能力の向上に関係することが明らかとなった．本研究では，英語リズム習得を短期的に学習できるのかを調べた．また，そのRIMを繰り返し呈示した時の結果を調べた．短期学習と「飽き」をシステマテイックに調べることで，学習時に起こり得る「飽き」を素早く検出し，学習者に休憩を促したり，教材を切り替えるなど，学習効率を下げずに学習できるシステム開発につながると考えられる．本実験では，約30分間RIMを被験者に聞かせ，その音に対して発話，追従する英語リズム学習を行わせた．また学習時に被験者が「飽き」を感じたら，手元のボタンを押すように指示をした．その時，被験者の頭皮上8か所から脳波を測定した．またRIM学習前後での被験者の発話変化も調べた．事前にネイティブ話者の英語の音声を録音して，その録音した音声（教師音声）と学習前後での被験者音声との相互相関関数を求めた．約30分間の英語リズム学習により，教師音声との最大ピーク相関値は上昇し，被験者の発話能力は向上した．また「飽き」を感じる前後で，θ波，α波，β波，γ波のパワー値が有意に上昇した．また，θ波，α波，β波，γ波パワー値が「飽き」により有意に減少した．以上の結果より，RIMでの短期学習が起こり，その時，脳波パワー値の有意な上昇が見られ，一方，脳波パワー値の減少が生じた結果，「飽き」を感じると考えられる．