多孔質アルミニウムアノード酸化皮膜およびエッチング箔をテンプレートするナノ·マイクロカーボンの合成

摘要

近年のナノ材料やナノデバイスへの関心の高まりと関連して，多孔質アノード酸化アルミナをテンプレートとし，そのポア内に様々な物質を析出させる研究が最近数多く報告されている。カーボンナノチューブも多孔質アノード酸化アルミナをテンプレートとし，アセチレンなどの炭化水素ガスを気相熱分解することにより合成できるという報告がなされている。一方，筆者らは，ポリビニルアルコール（PVA）やポリ塩化ビニル（PVC）などが不活性ガス中で熱処理すると，その炭素化の過程で液状化するという性質に着目し，シュウ酸溶液中で作製した多孔質アノード酸化アルミナ膜とこれら高分子の混合物を熱処理すると，ポア内に高いアスペクト比をもったカーボンナノフィラメントが生成することを最近確認した。 また，このように作製した炭素はナノフィラメントの長軸方向に層が積層した特異な配向性を持っていることも明らかとした。 本研究では，硫酸およびシュウ酸溶液中でアノード酸化して作製した多孔質アノード酸化皮膜と電解コンデンサに使われている高圧用エッチング箔およびこれを中性溶液中でアノード酸化した試料をテンプレートとし，これらとPVAまたはPVCとの混合物を不活性ガス雰囲気で熱処理することで様々な径のカーボンナノフィラメントの作製を試みるとともにそれらの構造について検討を行った。