冷却水系における軟鋼の腐食に対する高分子間コンプレックスの効果（第2報）--ポリメタクリル酸／ポリアクリルナさや系での検討--

摘要

冷却水系の鋼材腐食およびスケール分散の制御として,PMAAとPAAmよりなる混合系について検討したところ，次のような結論が得られた。 （1）粘度およびFT－IR／ATRの測定より，PMAAとPAAmよりなるPPCの形成を確認し，単量体単位のモル比MAA／AAm=1／1の時に最も効果的なPPCとなった。 （2）LC，HC両条件においてPPC系は高分子間の水素結合によってPMAA単独系の錯形成およびスケール分散を制御し，幅広い添加濃度において高い腐食抑制効果を示した。（3）LC水条件ではPMAAの持つカルポキシル基の吸着によって腐食を抑制し，腐食重量減試験と吸着試験の結果には良い相関性が見られた。 （4）HC水条件では高分子吸着とスケール析出が相加的に腐食を抑制し，腐食重量減試験の結果と吸着試験およびスケール析出試験の結果には良い相関性が見られた。