液相法による球状単分散Y_2O_3：Eu前駆体粒子合成における添加尿素およびレアアース濃度の影響

摘要

液相法（均一沈殿法）により，ディスプレイやランプ用蛍光体として重要なY_2O_3：Euの前駆体を合成する場合に，球状単分散微粒子が生成する試薬濃度範囲を明らかにすること，またその範囲の中で効率の良い濃度条件を示すことを目的として，合成に用いる溶液の試薬濃度と生成する粒子の形状や組成等の性状との関係について検討した。 その結果，合成前の尿素の初期濃度によって沈殿剤の供給量を制御できること，また，レアアースイオン濃度がある一定の濃度以下では尿素濃度にかかわらず球状単分散微粒子が得られるが，それ以上になると非球形の凝集した塊状粒子が生成し易くなることなどがわかった。 なお，ここで合成した前駆体粒子は焼成することによって何れもY_2O_3：Eu蛍光体へと転化したが，非球形で凝集の進行した塊状の粒子の真空紫外線励起による発光輝度は球状微粒子に比べ80～90％に止まっており，また塗布特性も悪いと考えられる。 蛍光体の合成における形態の制御は非常に重要であり，また一方で生産性も無視できないことから，効率と制御性を兼ね備えた合成方法の開発が重要である。 本系でも分散剤や装置改善による効果等が期待され検討を進めている。