ナノインプリントによる光学デバイス：熱ナノインプリント

摘要

ナノインプリント法は，低コストでナノ構造を一括して作製できる技術として，光学，バイオ，記録媒体，半導体，マイクロマシンなど様々な分野から注目を集めている。 ナノインプリント法には，被加工材料として熱可塑性樹脂を用いる熱ナノインプリントと，光硬化性樹脂を用いるUVナノインプリントの二通りが提案されている。 熱ナノインプリントの場合，図1に示すように，ガラス転移温度以上に加熱した高分子樹脂にモールド（金型）をプレスし，冷却後にモールドを離型することで，微細構造を基板上の樹脂に転写するものである。 モールドと基板の熱膨張率が異なるものを用いると熱歪が生じる恐れがあるが，加工しようとする材料の選択肢が広い利点がある。一方，光硬化性樹脂を用い，透明モールドを通して光を照射し樹脂を光硬化させるUVナノインプリントでは，室温でのインプリントが可能となり，位置合わせも従来技術を転用できるが，光硬化による樹脂の収縮の問題や，また材料の選択肢が限られるなど，それぞれ用途と目的にあわせての応用が考えられている。ここでは，主として熱ナノインプリント法を中心に，基礎となる要素技術と技術シーズについて紹介する。