'本場の発酵茶'見閬録(1):台湾における紅茶生産

摘要

発酵茶生産についての情報収集のため、平成お年9月巧日から28日まで台湾と中国を訪問した。台湾では紅茶、中国では烏龍茶と紅茶の産地を訪れたが、いずれの産地でも発酵茶の製造を行ったので、産地の概要と併せて生産についても紹介する。台湾における茶栽培面積は約1万4千.ha、生産量は約1万7千tである。南投縣は台湾における生産量の1割を占める主要な産地で、気候条件や土壌条件等に恵まれて茶の品質に優れるという。台湾では約百年前に紅茶の生産が始まり、日本統治時代にはアツサム種を魚池郷一帯に導入して本格的な紅茶生産に取り組んだ。紅茶は烏龍茶とともに欧米に輸出され、多い時には7千tを越えたが、日本の敗戦とともに中国大陸向けの緑茶生産に取って代わった。その後、台湾国内で紅茶の消費量が伸びたものの、ほとんどを安価なベトナムやスリランカからの輸入が占め、台湾紅茶は熾烈な価格競争に苦戦を強いられた。