オウトウ黒斑病に対する各種殺菌剤の防除効果

摘要

Alternaria sp．によるオウトウ黒斑病に対する有効な薬剤を検討した．ジフエノコナゾール水和剤2，000倍は果実での発病を，ジラム、チウラム水和剤500倍は葉での発病を抑制し，防除効果が高かった．オウトウ黒斑病による果実腐敗の発生は，収穫期終盤，特に7月になると増加する．本病は果実の収量および商品価値を著しく低下さ草るとともに，葉に円形の斑点とせん孔，さらに落葉を引き起こす（1）ことから，その生態解明と防除技術の確立が求められている．しかし，本病に対する防除試験の事例が皆無であることから，防除薬剤の選抜が急務である．そこで，収穫期終盤に発生が増加する果実腐敗については，現在オウトウ灰星病に農薬登録がある殺菌剤を中心に腐敗防止効果を検討した．また，葉における黒斑病の発生は，雨よけビニル被覆が除去された収穫後に見られることから，褐色せん孔病に農薬登録のある殺菌剤を中心に葉への病斑形成阻止効果を検討した．