能登半島周辺に急潮を引き起こす気象条件の特: 急潮防炎を目指して

摘要

能登半島は，本州中部に位置し，日本海沿岸の半島では最大である（Fig.1).周辺の海底地形は，西岸から北岸では なだらかで，大陸棚（水深200m以浅の海底）が距岸40~ 60kmにまで張り出している.一方，富山湾に面する東岸 では，一部を除いて大陸棚は距岸3-10 kmと狭く，急峻な 地形となっている.この半島沿岸は周年にわたって北西沖 を流れる対馬暖流の影響下にあり，ごく沿岸に来遊するブ リなどの暖水性回遊魚を効率的に漁獲する漁法として定置 網漁業が古くから発展を遂げてきた.定置網は明治時代以 前には台網と称され，15世紀末から16世紀半ばに觸網漁 が行われていたことを示す史料が存在するなど（小境, 2006),その歴史は中世に遡ることができる.特に半島東岸は，全国有数の大規模な定置網漁場であり，石川県で操業される定置網の約90% (大型定置網90余統と小型定置 網260余統）が集中している.