シリーズ『経営革新への取り組み』⑨: 微生物検査による汚染菌の特定と対応事例

摘要

経営革新に課題解決は不可欠な要素である。 特に現実の職場における管理者の課題解決能力はきわめて重要な役割を担っている。 問題を意識あるいは認識し、課題を形成した上で解決へと展開するプロセスの中で、課題の原因を分析し評価する力量も当然のことで要求される。本稿は微生物検査という分析技術のなかで、大腸菌群や大腸菌などの糞便指標菌を対象とした迅速検出法について調査研究した結果をまとめ、さらに中間、最終製品より検出された汚染菌を、同定キットを用いた手法で特定した事例を紹介する。 食品衛生検査指針、微生物編［（社）日本食品衛生協会］によれば、大腸菌群の公定法はBGLB培地（または乳糖ブイヨン）を使用してガス発生の試験管で推定し、EMB寒天平板で金属光沢の典型的な集落でもって確定することになっている。 寒天培地による方法ではデソキシコーレイト培地に生育した赤色の定型型集落が大腸菌群と推定されている。 公定法には手順と判定方法が詳細に記載されてはいるものの、擬陽性の場合は熟練者でなければ判定が難しくなる。 また周知のとおり結果が得られるまでにかなりの日数を要する。 糞便系大腸菌群の場合、公定法はBGLB培地でガス発生したものをEC培地にて44.5℃で24時間培養し、EMB培地で確定した後にIMViC試験を行うという煩雑なプロセスである。