黒酵母Aureobasidium pullulansのβ－グルカンとモの生理機能

摘要

針グルカンはきのこに含まれる成分として古くから知られており、それらのβグルカンには抗腫瘍活性があることが報告されている。例えば、スエヒロタケから得られるシゾフィラン（Schizophyllan）、シイタケから得られるレンチナン（Lentinan）、カワラタケから得られるクレスチン（Krestin）はそれぞれβ－グルカンを主成分とする抗癌剤などの医薬品として製造販売されている。きのこ以外の針グルカンとしては、酵母や黒酵母由来のβ－1,3－結合にβ－1,6．分岐構造を有するものや、カラスムギや大麦由来のようにβ－1,3-1,4－結合の繰り返し構造を有するもの、そしてラミナランのような海草などにもβ－1，3－1,6－結合の繰り返し構造を有するものが知られている。しかし、免疫賦活という観点からは、その分子レベルのメカニズムの詳細解明がなされていないのが現状である。本稿ではか1,3－結合にモノマーでβ－1,6．分岐結合を有する黒酵母由来のβ－グルカンに焦点を絞って特徴を紹介する。