微生物群集による地下水からの除鉄、除マンガンのメカニズムとヒ素吸着除去への応用

摘要

地下水には地質的要因により鉄（Fe），マンガン（Mn）などさまざまな金属イオンが含まれることが少なくない．これらの金属イオンを酸化し不溶化する「鉄バクテリア」と呼ばれる細菌，すなわちGallionella属などの托酸化細菌や中神励磁属などのFe、Mn酸化細菌が，地下水中に生息することは古くから知られている．近年，これらの細菌が産生するFe、Mn酸化物がヒ素など重金属のイオンを吸着することが注目され，重金属で汚染した水の浄化やレアメタルの回収などへの応用が期待されている．しかし，「鉄バクテリア」の多くは純粋培養が困難で，生態もよく分かっていない．一方，この「鉄バクテリア」を含む地下水に生息する微生物を，単離しない複合糸のままでFeやMnを含む地下水の浄化に利用した上水処理法がある．この手法は生物ろ過法，鉄バクテリア法などと呼ばれるが，本稿では後述する理由により，バイオフィルトレーションによるFe、Mn除去法と呼ぶ．