イネ縞葉枯ウイルスなどテメイウイルスに関する分子生物学的研究

摘要

関東地方を中心にイネに奇病が発生し，被害が目立ち始めたのは1900年代初めであるから，イネの縞葉枯病（ゆうれい病）が問題になって，ほぼ100年になる。 1931年，栗林氏がヒメトビウンカが伝播するウイルス病であることを発見して以来，水稲の重要なウイルス病として注目されてきた。 縞葉枯病は，とくに1960～1970年にかけて猛威を振るい，関東から西日本全域の稲作は膨大な被害を蒙った。 当時の水田の惨状は大変なものであったと言われる。これを契機に媒介昆虫のヒメトビウンカによる伝播様式や縞葉枯病の発生生態に関する研究が精力的にすすめられ，さらに，ウイルス抵抗性イネが育成されるなど数々の輝かしい研究成果が上げられた。