インターネッ卜で収集した開花情報による、耩度ゃ標高の環境勾配に沿ったサクラの開花日の空間分布特性の検出

摘要

植生の季節変化(フエノロジー:例えば、開花、展葉、落葉)の変動特性の検出は、生態系の機能(光合成など) やサービス(気候調整'レクリェーションなど）を評価する上で重要な課題の一つとなる。既存研究では、気象台や大学の調査林などでの現場観測データから、その経年変化が評価されてきた(e.g., Inoueetal. 2014)。一方、 近年はインターネットを通じて各地のフエノロジー情報（開花、新緑、紅葉の始まり'終わりなど)が観光宣伝を目 的として提供されるようになった。とりわけサクラの開花は観光資源として高い価値を持っため、様々な場所での 開花情報が発信されてレヽる。これらインターネット上のサクラの開花情報は、日本の春の気象-気候変動下にお ける生態系の変動を理解するために有用な地上観測の一つになる可能性がある。そこで、日本で標高の環境 勾配が大きい地域の一つである中部山岳地域を対象に、サクラの開花情報をインターネットで収集し、緯度や 標高の環境勾配に沿ったサクラの開花日と、その空間分布特性を調査した（Inoue and Nagai under review)。