温暖化によるイネの品質、収量への影 一水稲白未熟粒の発生要因と今後の対策-

摘要

これまで日本のィネ研究においては、 冷害を軽減するための耐冷性品種や栽培 技術の開発に多大な成果を上げ、今日の 北海道や東北地域は米の大生産地となつ ている。一方、近年、高温による水稲へ の影響、特に玄米の外観品質の低下が主 に関東以西の広い地域で問題となってお り、その対策が求められている。今後 さらに高温化が進行した場合には、品 質だけではなく収量低下が懸念されている。IPCCの第4次評価報告書は、最 近100年間（1906-2005年）で世界の平 均気温が0.74°C上昇しており、その原因 が人為的な温室効果ガスの放出である可 能性を指摘した。日本においては、1898-2004年の夏季（6-8月）の気温が 0.87 °C /100年の割合で上昇している。高温化と温暖化ガスの因果関係には今後の科 学的検証の余地があるものの、今後のさらな る高温化を想定し、収量や品質の低下を軽減 しな力ら温暖化に適応していくための栽培管 理法や耐性品種の開発は、イネ研究の重要な 課題と考えられる。