ワクチンによる病気予防技術の開発: ヒラメのエドワジェラ症に対するワクチンの調整法および投与量の検討

摘要

世界各国の200海里経済水域の制定による漁業規制に伴い，わが国の総漁業生産に占める養殖業の比率は年々高まりつつある。 養殖の普及に伴い，病気による大量覧死がしばしば発生し，多大な損失を生じている。 これらの病気に対しては，一般的に抗生物質などの薬剤が用いられる場合が多いが，耐性菌の出現および魚体への残留性など，環境および消費者への影響が懸念され，さらに病気の種類によっては薬剤の効果が得られにくいといった問題点がある。 このような状況のもと，薬剤を用いない病気予防技術としてワクチンが注目されており，海外ではニジマスのレッドマウス病，サケ、マス類，タラなどのビブリオ病，ヨーロッパスズキの類結節症などに対して，わが国ではアユおよびサケ科魚類のビブリオ病，プリの腸球菌症などに対してワクチンが市販されている。