輸入牛肉の特徴、需要と輸出国事情－米国、豪州産牛肉を中心として－

摘要

我が国への牛肉輸入は，1991年4月以降，従前の国家一元管理から完全自由化された。この自由化は，1989年6月のカナダトロントサミットで，竹下首相が農産物市場開放の象徴的事項として表明した。 牛肉自由化の背景として，海外，特に米国からの政治圧力（食肉業界は共和党支持）や国内での牛肉の潜在需要の強さがあった。 米国からの輸出牛肉は，20カ月令以下で1，300ポンド（約600kg）以上の脂肪交雑のあるフィードロット（短期若令穀物肥育）の肉質で，米国では需要が少なく，カリブ海諸国やメキシコまたはペットフード用に販売されていた。米国の肥育牛は酪農用雄牛（ホルスタイン等）の去勢牛や肥育用牛（アンガス等）の雄去勢牛（いずれもステアーと呼ぶ）と肥育用雌を，穀物主体の飼料で約18～20カ月肥育し，生体1，000ポンド（約450kg）以下の脂肪の無い肥育牛を育てるフィードロット方式で，数万虜規模の牧場が点在している。