植物の根に関する諸問題〔130〕--水透過性の分子機構：根における水チヤネル、アクアポリンの機能--

摘要

高等植物の根の主要な機能の一つとして水の吸収があげられる．根がいかに水を吸収して地部に水をとのくらい供給できるか，ということは，細胞の伸長成長に直接影響し，最終的には植物の成長量を決定することになるので，生理学的にも，農学、作物学的にも古くから興味と関心が注がれてきだ．植物の成長阻害につながる，根による水吸収の低下を引き起こすストレスとしては，土壌の乾燥や高塩濃度（塩ストレス）がよく知られている．この場合，吸水量の低下は土壌水ポテンシヤルの低下から説明されてきた．確かに水ポテンシャルは水吸収量を決める一つの因子であるが，本稿で取り上げる水透過性と，その分子機構を担う水チャネルアクアポリンが，もう一つの重要な因子であることにも注目する必要がある．