中国からの畳表の輸入急増が国内の産地に与えた影響と政策対応

摘要

1960年の「貿易為替自由化計画大綱」以降，日本の貿易の自由化は急速に進んだ．さらに，1985年のプラザ合意を契機に円高が進行して輸入を促進させることになった．しかし，1995年以降は，年々の変化を伴いながら円安に転じ，農産物の輸入量の伸び率は低下した．しかしながら，野菜に関しては，1995年以降も増加している．野菜の輸入量が依然として増加している要因として，開発輸入が挙げられる．中国において日本企業等による日本向けの野菜の開発輸入が行われ，その結果，価格の安い中国産野菜が日本に多く入ってくるようになった．価格の安い輸入品の増加は，国内の生産者を苦しめることになった．中でも，近年輸入増加の著しい，ねぎ、生しいたけ、畳表が農産物3品目問題として注目された．本研究では，この農産物3品目の1つである畳表に焦点を当て，その輸入増加に関する事例分析を行うことにする．