米の外観品質、食味研究の最前線〔2〕 一良食味米と低食味米の微細構造的特徴一

摘要

わが国における水稲品種の作付面積は，社会情勢 の変化と品種にたいする消費者ならびに生産者の要請を反映して大きく推移してきた（後藤ら2000). 戦後および1950年代は多収性品種が多用され，1965 年ごろからは移植ならびに収穫機械に対応した品 種が栽培面積を増やした.1970年代以降になると', 消費者が高品質、良食味米を求める声が一層強く なった.とくに，1990年前後は，コシヒカリとササ 二シキの栽培面積が顕著に増加し，今日の「高品 質'良食味ブーム」の第1のピークをむかえた. その後，ササニシキは耐冷性ゃ耐病性が弱いこと， 登熟期の高温で玄米品質が低下しゃすいことなど から，栽培地が宮城県などに限られた.一方，コシ ヒカリは，耐病性はやや弱いが，耐冷性が強いうえ に栽培適応範囲が広く，暖地でも栽培が可能で，収 量が比較的安定していることから，栽培面積を著し く拡大した.2009年現在，全国で601,100ha栽培さ れている（農林水産省2010).また，コシヒカリ系 の味と粘りを有するひとめぼれ（2009年の作付面 積：158， 200ha),ヒノヒカリ（157, 200ha)，あきた こまち（119,700ha)，はえぬき（42，200ha)などの 栽培面積も増加した.