卵巣嚢腫の治療における定時人工授精法とプロジエステロン処置法の経済的比較

摘要

分娩後60日以内の卵巣嚢腫では自然治癒が20～70％の範囲でみられ，平均31．0日で治癒する。 一方，卵巣嚢腫に対するGnRH投与では80％が反応し，自然治癒と比較すると，泌乳初期8週では1頭当たり5．4 dollarの収益から0．02 dollarの損失の幅がある。 卵巣嚢腫に対する処置として，オブシンク（GnRH投与：0日，PGF_(2α)投与：7日，GnRH投与：9日，定時AI：10日）が有効で，さらにGnRHとPGF_(2α)投与間におけるプロジエステロン挿入は，治癒率を高める。 今回，異なる処置法の比較に用いられる確率ダイナミックシミュレーションにより，卵巣嚢腫の治療におけるオブシンク定時人工授精（AI）とプロジエステロン挿入法を比較し，また自然治癒との比較や蓄積効果を検討した。