ウマのストレス反応に関連する神経伝達物質：クロモグラニッA（CgA）について

摘要

ウマのストレス応答を客観的に評価する方法は，未だ確立されていない。 ウマに刺激が加わり，交感神経細胞や副腎髄質細胞の分泌顆粒からカテコールアミンが放出される際，同時に，いくつかの神経分泌アミンも放出される。 そのうちの一つであるクロモグラニン類は，カテコールアミン分泌顆粒や，その他，多くの分泌顆粒に認められる蛋白質であり，特に分子量75KDaの物質はクロモグラニンA（CgA）と呼ばれている。 近年，CgAが自律神経系の機能を反映して唾液中に分泌されることが明らかにされつつあり，この物質の測定により，ウマの緊張、興奮などのストレス反応の程度を非観血的に評価できる可能性がある。本研究は，ウマCgAに対する，抗体を作製し，唾液および血液サンプル中のCgAの免疫学的測定法を確立することを目的とした。 すなわち，ウマCgA遺伝子塩基配列の解読とウマの臓器組織中の遺伝子発現を観察するとともに，解読したCDNA配列を基にペプチド抗原を合成してポリクローナル抗体の作製を試みた。