精子の生産と機能に関する最近の知見

摘要

雄畜の造精機能は環境や栄養条件を変えることによって，多少の増強は可能であるが，これは体全体の代謝機能の促進によるものである。 造精機能に関与するホルモンの分泌を免疫学的方法により制御して，精子の生産能力を高める試みが，最近報告された。精巣で造られた精子は精巣上体を下降する過程で蛋白質が付加されたり，修飾されたりすることによつて’精子．膜表面の蛋白質や脂質の構成が変化する現象は数十年前から分かっていたが，その変化がどのような意味を持つのかは明らかにされていなかった。最近，その変化のあるものは受精能獲得（キャパシテーショシ）に関連していることが明らかにされつつあり，また精子の質的変化を形態染色によって判定する方法も種々開発されている。