移行期に必要なミネラルの考え方とその実際

摘要

乳牛の生産性向上は近年非常に顕著であり，アメリカでは驚くことに4万ボンド（18，182kg）牛群を視野に入れた研究さえも進められている。 ところが，高泌乳牛ではその能力にあわせた栄養管理，特に移行期の栄養管理が十分でないために，乳牛が能力を発揮できずに淘汰されるケースが増えている。 そのため，高泌乳牛に対してほ移行期の栄養管理を改善し，能力を最大限に発揮させることが酪農家に求められている。 移行期には乳熱予防などのため，ミネラルの栄養管理が重要なことも言うまでもない。 しかし，ミネラルの重要性は認識していても，移行期の飼料設計における栄養素充足の優先順位は，エネルギー＞蛋白質＞ミネラル、ビタミンの順になるため，ミネラルの充足はどうしても後回しになる。 また，乳牛に必須なミネラルはCa，Pなどの主要ミネラルから，鉄，亜鉛などの微量ミネラルまで数多く含まれ，すべてを過不足なく給与することば至難の業である。