きのこ研究におけるDNA解析（3）品種育成への応用

摘要

日本きのこセンター菌葦研究所は、50年にわたって、シイタケをはじめ多くのきのこの品種育成を行ってきました。 これまで育成されてきたきのこの品種は、いずれも交配により育成されたものです。 本稿では、現在進めている、DNAマーカーを利用した品種育成の効率化について述べたいと思います。一般的に、きのこの品種育成は、優秀な親菌株（二核菌糸）の子実体から胞子を分離し、一核菌糸体を得るところから始まります。 次に、得られた一核菌糸体同士を交配することにより、品種候補となる菌株（二核菌糸体株）を得ます。 この菌株を原木などの栽培資材に植え付け、収量、きのこの形状、発生時期等の実用的に重要な栽培特性を調査し、さらに、栽培現地での適性試験を経て、特に優れた菌株がようやく品種として登録されます。 （図①）