営農支援のための圃場気象環境情報モニタリングシステムの開発に関する基礎的研究

摘要

農業生産は，気象環境の変化や圃場条件に左右されることが多い．特に，気温，湿度，土壌温度（水温），日射量等の気象環境情報や圃場や作物の時々刻々の状態変化は，作物の生育状況の把握や潅排水，施肥，除草、農薬散布，収穫の適期判断に利用できるため，極めて重要な営農情報となりうる．しかし，これらの情報の把握や適期の判断は，各農家の経験と勘で行われることがほとんどであり，これらの情報が迅速かつ効率的に利用されているケースは一部の法人経営農家や大規模経営農家を除き極めて少ない状況にある（深津、平藤，2003）．このような状況は，営農に関する知識や経験を持たない新規就農者にとって非常に大きな障害となっている．そこで，圃場環境情報を高精度かつ安価にリアルタイム計測、収集し，営農者が適切かつ迅速にこれらの情報を利用できるようにする営農支援システムの開発に関する研究が盛んに行われている（深津、平藤，2003；南石、松下，2003；平藤，2004；南石、木村，2006）．